【松江】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される「佐陀神能」の神楽面が、スペインのユネスコ関連施設で展示されることが決まり、このほど、佐太神社(松江市鹿島町佐陀宮内)舞殿で奉納演舞があった。スペインから訪れた関係者が神秘的な神楽の魅力に触れた。
展示のため寄贈される神楽面「大蛇(おろち)」は、頭が八つある様子を16の目で表現した独特な風貌が特徴。島根県内では佐陀神能と亀尾神能(松江市西持田町)でしか見ることができない。
ユネスコ文化遺産などの魅力を発信するバルセロナユネスコ友の会本部(スペイン)で常設展示される「世界の仮面 ウィングス&ウィンドコレクション」に加わることになった。
佐陀神能保存会による奉納演舞ではユネスコの会の関係者らが展示する神楽面を使用する演目「八重垣(やえがき)」を見学した。途中、雨が降る幻想的な雰囲気の中、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が大蛇の面を着けた八岐大蛇(やまたのおろち)を退治する神秘的な舞を熱心に見入った。観覧したイグナシオ・ロビラさんは「幻想的な雰囲気の中、感動的な舞を見ることができて良かった」と振り返った。
佐陀神能保存会の石橋淳一会長(54)は「スペインでの展示は名誉なことで大変うれしい。佐陀神能の魅力発信につながると信じている」と話した。(石倉俊直)