自宅で「寒グレ浮子 竹誠」の製作に励む倉橋誠治さん=松江市国屋町
自宅で「寒グレ浮子 竹誠」の製作に励む倉橋誠治さん=松江市国屋町

 松江市国屋町の釣り愛好家、倉橋誠治さん(62)が重りが移動する海釣り用の浮き仕掛け「寒グレ浮子 竹誠」を開発し好評だ。遠投時には飛距離が伸び、着水後は道糸をうまく沈められ、秋冬の荒天や潮の流れが速いときにも安定するのが特徴。難しい冬のグレ釣りに使えると県外にもリピーターがおり「そこにグレさえいれば釣り上げられる」と自信を見せる。     (黒沢悠太)

 浮きと道糸の間を、重りを通した糸でつなぎ、重りが移動できる構造。遠投時は重りが浮きに近づくことで飛距離が伸び、着水後は重りが道糸に近づいて水中に引っ張る。

 倉橋さんは島根半島部の出雲市伊野地区出身で、幼い頃から父・和夫さん(91)に連れられてよく海釣りに行った。郵便局に就職してからも釣りを楽しみ、1980年代半ばの25歳の頃、冬場の荒れた海でも安定して沈む浮き仕掛けを求め、現在の商品の原型を考案、自分で使っていた。

 40歳を過ぎてからは仕事が忙しくなり、釣りに行く機会がほとんどなくなったが、2013年に54歳で早期退職したのを機に再度釣りに没頭。釣りの本やテレビ番組を参考に、自作の仕掛けの改良を進めた。

 量産品ではなかなか出せない浮力の正確さを追求するため、浮きを大量に買い、仕掛けと共に塩水に浮かせてみるなどの実験を重ねた。2019年に特許を申請。佐賀県の漁具メーカーの目に留まり、昨年2月に販売を始めた。

 利用客からは「大きなグレが釣れた」という声が寄せられ、昨年4月に松江市のふるさと納税の返礼品に採用されると認知度が増し、県外からも注文が舞い込む。

 倉橋さんは「良い物になると思い、改良を重ねていたら、どんどん楽しくなった」と明かす。和夫さんと海に行き、この仕掛けでチヌやイシダイを釣って見せると「良い物を作った」と褒められ、「初めて父に褒められた。涙が出るくらいうれしかった」という。

 大小の重り2個が付いたビギナー用3190円、重さの違う浮き2個が付いたベテラン用3850円。山上釣具店(出雲市大社町修理免)、小村漁具(出雲市西平田町)、山陰釣具センター(松江市北田町)で扱っている。