松江市西川津町の島根大松江キャンパスで5月、学内で倒れ、心肺停止に陥った職員を同僚たちが救命活動の連係プレーで救った。同市消防本部(松江市学園南1丁目)で24日、職員7人に感謝状が贈られた。職員のうち1人は昨年末、救命措置の末に家族を亡くしており「戻ってきてくれたことを本当にうれしく思う」と感慨深げに話した。
5月29日、職員7人が昼休みに学内でサッカーをしていたところ、20代の男性職員が突然倒れた。意識はなく、全身はけいれん。呼吸もしておらず、その場にいた6人と、学内の保健管理センターの保健師1人が救命活動にあたった。男性は胸骨圧迫とAED(自動体外式除細動器)の電気ショックによって、数分後に意識を取り戻した。後遺症もなく、退院後に職場復帰したという。
職員の飯野修二さん(54)は倒れた職員の胸に耳を当て、心肺停止を確認、すぐに胸骨圧迫を始めた。飯野さんは昨年12月、自宅で心肺停止状態の妻を発見した。救急隊の到着まで胸骨圧迫を続けたが、妻は脳に重い障害が残り、11日後に亡くなったという。
飯野さんは「妻は救うことができなかった。なおさら、今回のことはうれしく思う」と話した。井ノ下秀彦消防長は「とっさの判断でなかなかできることではない。勇気ある行動に感謝したい」とたたえた。
同大によると、松江キャンパス内でAEDが使われたのは初めて。今後も職員や学生を対象にした救命講習を開くほか、今回のケースを通じた啓発活動をしていくという。
(森みずき)