2024年12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎であった授賞式に、本間恵美子(75)=松江市苧町=の姿があった。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表理事で、島根県原爆被爆者協議会長。世界に被爆の実相を伝えてきた被団協にノーベル平和賞が授与される世界が注目する場所で、亡くなった母・淳(あつ)の写真を携えていた。(interviewer・新藤正春)
#(中)戦争も原爆も遠い話に
#(下)8月6日と9日、実体験なくても
母は2013年に90歳で死去した被爆1世。本間は被爆2世で、2世としては初めて被団協の代表理事に就いた。式典ではフリードネス・ノーベル賞委員長が「被爆者の遺産を受け継ぐのは全ての人間の責任だ」と言葉を贈り、本間は被爆2世へのエールと受け取った。「若い世代を巻き込んだ活動をしたい。改めてスタートラインに立ったような思いだ」
母と原爆をつなぐ接点
母は原爆投下後に広島入りした「入市被爆者」で、県原爆被爆者協議会の会員だった。原爆の惨状を本人の口から聞いたことは...