第五章・政重(まさしげ)帰参(29)

 

「大殿、お加減はいかがでございますか」

 喜兵衛(きへえ)は真っ先に利長の容体を気遣った。

「見ての通り、起き伏しもままならぬ。木偶(でく)の坊にな...