盆休みに家族とボードゲーム「パンデミック」で遊んだ。2008年、米国生まれのこのゲームはプレーヤー同士が競うのではなく協力して感染症の拡大を防ぐ▼各地で発生する感染者への局所的な対応に気を取られ過ぎると、すぐ時間切れになってしまう。爆発的な感染拡大に至りそうな都市を優先的にケアしつつ治療薬開発を分担するなど全体を見渡し、先を見越してプレーするのが勝利の鍵▼新型コロナウイルス対策にも通じる心得だと思う。山陰両県でいかに感染を封じ込めようと都会地で感染が収まらないと、人の往来に伴ってウイルスが入り込み、切りがない。都会地の感染封じ込めに国が頼りにならないなら、47都道府県が団結して注力してもいいはずだ▼コロナ対策の手腕を買われ、鳥取県の平井伸治知事が全国知事会の会長に就く。今春、「感染者が最少県」(当時)をうたい文句にする著書『鳥取力』の発刊直後に県職員クラスターが発生し、7月末に知事会長選出馬を明らかにした途端に県内で1日の新規感染者が過去最多の47人を記録するなど間の悪さはあったものの、全国の知事の支持を集めた▼県境をまたぐ感染症に立ち向かう知事会長として常日頃「連携」を説く平井知事は最適任だと期待する。「感染者最少県」にはこだわらなくていい。その代わり「都会地の感染拡大の波が鳥取に及んだ」式の釈明はもう聞きたくない。(志)