国の交付金を受け、島根県など産学官金が取り組む先端金属素材拠点化事業で、県が設定が必須の業績評価指標(KPI)について、2027年度の特殊鋼関連産業の売上増加額を152億円減の578億円とするなど下方修正した。米中貿易摩擦や新型コロナ禍の影響を踏まえた対応で、23日に松江市内であった関係者会議で示した。

 KPI見直しは、コロナ禍で航空機産業などの売り上げが急減し、事業成果の反映時期が後ろ倒しされるため。

 売上増加額や雇用者増加数について、17年度実績としていた基準を19年度に改め、売上増加額の基準を193億円減の1346億円に変更。22年度に62億円増の1408億円とプラス転換させ、27年度は578億円増の1924億円と再設定した。

 27年度に730億円増の2269億円とした当初のKPIと比べ、345億円減ることになる。

 会議では、日立金属の検査不正問題で当時の社長が辞任したことに伴い空席だった事業責任者に、同社金属材料事業本部の毛利元栄特殊鋼統括部長が就いたとの報告もあった。

 拠点化事業は県、島根大、県内の特殊鋼関連産業などが、航空機エンジンやモーター部品素材の世界的な拠点を目指す計画。事業費は交付期限の22年度までで計60億円を見込む。 (曽田元気)