新型コロナウイルスの感染者を受け入れる医療機関の「病床使用率」について、島根県が24日、全県一括としてきた公表方針を転換し、県東部、県西部それぞれの使用率を明らかにした。すぐに患者を受け入れることが可能な「即応病床」は、東部の190床に対し、西部は3分の1の64床しかなく、24日午前0時時点の使用率はそれぞれ61・1%と73・4%。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な県西部の逼迫(ひっぱく)度が改めて明らかになった。 (佐々木一全)
感染拡大の「第5波」により、西部でも感染者数が増加。病床使用率の公表について医療関係者からは「全県一括では厳しい実情が住民に伝わりづらい」と指摘する意見が相次ぎ、地域ごとの数字を公表するよう求める声が高まっていた。
県は感染者の入院調整を県内全域で実施していることを理由に、これまでは地域別の状況を公表していなかった。県感染症対策室の田原研司室長は「地域からの要望を踏まえ、医療現場の状況を少しでも理解しやすく示す必要性を感じた」と、公表に踏み切った理由を説明した。
24日の会見では併せて、東部では松江、出雲、雲南各圏域で計7カ所、西部には浜田、益田、県央各圏域で計5カ所、新型コロナ患者を受け入れる医療機関があることも明らかにした。
隠岐地域については、医療機関数が限られるため非公表。保健所がある県内7圏域ごとの使用率については引き続き公表しない考えを示した。