展示品の軍記などを鑑賞する来館者=島根県奥出雲町上阿井、可部屋集成館
展示品の軍記などを鑑賞する来館者=島根県奥出雲町上阿井、可部屋集成館

 【奥出雲】江戸時代に松江藩の鉄師を務めた櫻井家の歴史と文化を紹介する可部屋集成館(島根県奥出雲町上阿井)で、夏季展「櫻井文庫が語る」が開かれている。経営や鉄師たちの教養などに役立てたという約2千冊の書籍の中から軍記や医学書などが並び、来館者がじっくり鑑賞している。

 展示される「大坂冬御陣覚書」「難波軍記」には、櫻井家の始祖・塙団衛門直之の活躍も描かれている。明治時代の浮世絵は、幕府による規制がなくなり、自由な発想で描かれているものが多い。

 医学書のコーナーでは、明治初期、櫻井家にお抱え医師として在中した医師がおり、家人や櫻井家で働く人の手当てをしていた。当時のやけどや眼の治療に関する資料も多く、現代の「産業医」の役割を果たしていたことが分かる。

 広島市から家族4人で訪れた会社員の川本克行さん(55)は「歴史のある資料が良い状態で残っているのがすごかった。次世代にも伝わればいいと思った」と話した。

 9月中旬まで。集成館と庭園の共通券は大人千円、大学・高校生650円。小中学生450円。月曜休館。 (景山達登)