慰霊塔の仕様書などに見入る市民=境港市上道町、市民交流センター
慰霊塔の仕様書などに見入る市民=境港市上道町、市民交流センター

 1927年、松江市美保関町沖で夜間訓練中だった旧日本海軍の艦艇同士が衝突し、多くの犠牲者が出た「美保関沖事件」に関する企画展が、境港市上道町の市民交流センターで開かれている。同市花町の境台場公園にある慰霊塔に関する初公開の資料などを並べ、歴史を伝えている。無料、29日まで。

 同事件は8月24日、無灯火訓練中だった連合艦隊の艦艇63隻のうち、巡洋艦「神通(じんつう)」と衝突した駆逐艦「蕨(わらび)」が沈没し、巡洋艦「那珂(なか)」とぶつかった駆逐艦「葦(あし)」も大破し、119人が犠牲となった。

 企画展は次世代への継承も目的に、地元の美保関沖事件慰霊の会(井上和夫会長)が主催した。同会などを中心とするプロジェクトチームが2020~23年度に現場付近で実施した水中調査結果を伝える掲示物、事件当時の新聞記事、犠牲者の顔写真も並べている。

 慰霊塔に関する初公開の資料は、境港市史編纂(へんさん)室保管の工事仕様書で、展示初日の26日は建築士らが興味深そうに見入っていた。 (松本稔史)