政府は25日の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、感染拡大抑止に向け、小中学校の検査体制強化を盛り込んだ基本的対処方針に改定した。北海道など8道県を緊急事態宣言の対象地域に追加し、高知など4県にまん延防止等重点措置を新たに適用すると決定。いずれも27日から9月12日までとした。宣言は21都道府県に拡大、重点措置は12県になる。病床確保に関し「妊産婦への特別な配慮」も都道府県に要請した。
感染力の強いデルタ株の影響で子どもの感染が急増。夏休み明けの学校再開に向け、昨年春に行った一斉休校のような事態を避けるため、検査体制の強化を打ち出した。菅義偉首相は記者会見で「全国一斉の休校要請は考えていない」とした。
コロナに関し「全国的にこれまでに経験のない感染拡大が継続している」と指摘。医療体制構築、感染防止対策、ワクチン接種を挙げ「3本柱の対策を徹底し、この危機を乗り越えていくのが私に課された責任だ」と述べ、緊急的な医療対策を速やかに進める考えを示した。妊産婦が感染した場合、緊急時に対応できる高度な医療機関を各地域で確保すると語った。
小中学校や幼稚園などには9月上旬から最大約80万回分の抗原検査の簡易キットを配布する。首相は対策本部会合で、校内で感染者が出た場合には、濃厚接触者を特定し、休校などの判断を適切に行えるよう速やかにガイドラインも示すと明らかにした。
新たに宣言対象となるのは北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県でいずれも重点措置からの移行。従来の対象地域と合わせ計21都道府県は各地方の拠点地域が中心で、全人口の約75%を占める。
重点措置が追加適用されるのは高知、佐賀、長崎、宮崎の4県。政府は25日夜、宣言の対象地域などを官報に公示した。
対処方針では、宣言と重点措置の対象地域に対し、医療の逼迫(ひっぱく)回避へ臨時の医療施設活用も含めた提供体制の確保に取り組むよう要請する。都道府県には入院待機ステーションの整備も求めた。