始業式で児童に感染予防を心がけるよう話す前田真利校長=松江市玉湯町湯町、玉湯学園
始業式で児童に感染予防を心がけるよう話す前田真利校長=松江市玉湯町湯町、玉湯学園

 新型コロナウイルス感染拡大「第5波」が猛威を振るう中、島根県内の多くの学校で26日、2学期が始まった。感染力の強い「デルタ株」への置き換わりで、うつりにくいとされてきた子どもへの感染が広がり、学校は始業式の簡略化、修学旅行の短縮など感染防止策に追われる。

 松江市では市立の17校で2学期がスタート。うち義務教育学校玉湯学園(玉湯町湯町)では急きょ、全校生徒約700人のうち1~4年生のみ2回に分けて体育館で始業式を行い、5年生以上は教室で放送を聞く形に変更した。2学期は学校行事がめじろ押し。前田真利校長は「子どもの安全と教育効果を鑑みやり方を工夫したい」と思案した。

 県内では8月の感染者数は481人で、過去最多だった5月の2倍以上に拡大した。特に10代の感染者は5月が全体の7・4%に当たる14人だったのに対し、8月(18日時点)は15・9%の46人に増加。多くの学校が予定通り新学期を始める計画だが、1学期以上に感染対策に神経をとがらせる。

 出雲市立大津小学校(大津町)は始業式を教室内のテレビと校内放送で行ったほか、蛇口の一部を非接触式に交換するなどハード面の対策も取った。市内での社会科見学を楽しみにする4年の松本颯華さん(10)は「手洗い、うがいに気をつけたい」と話した。

 大津小の対応は、全校での集会自粛を求める市教育委員会の通知を受けてのこと。宿泊を伴う修学旅行や宿泊研修についても9月末まで行わないよう求められ、第三中学校(大塚町)は9月の修学旅行を日帰り研修に変更した。

 クラスター(感染者集団)発生などで連日、複数の感染者が確認される浜田市の三隅小学校(三隅町古市場)は、電子黒板を使いオンライン形式で30日に始業式を行う予定。運動会は、競技のない児童の教室待機、保護者の観覧制限などを検討中で、樋野淳巳校長は「昨年よりも厳しい対策を取る必要性を感じる」と警戒する。

 一方で、対策強化による児童への負担を心配する声もある。波佐小学校(金城町波佐)は、今年も地域住民の参加不可で運動会を開く計画だが、加藤道夫校長は「子どもたちは素直で対策を守ってくれるが、いつまで続くのか我慢してもらうことが心配」と不安視した。