カナダで開催中の「第50回トロント国際映画祭」で映画『国宝』が、現地時間9月11日午後8時からロイヤル・アレキサンドラ劇場で上映された。スペシャル・プレゼンテーション部門に選出された本作。北米プレミアとなる公式上映には、開場前から観客の長蛇の列ができ、1244席の会場は満席となった。
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トロント国際映画祭は1976年に始まり、例年300本以上の作品が上映され、来場者数は70万人を超える北米最大級の映画祭として知られる。米アカデミー賞の前哨戦ともされ、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』も、2021年に同部門に出品されている。
上映前には李相日監督が登壇。Apple TVのドラマ『パチンコ』の撮影でトロントに長期滞在していた経験を振り返り、「スーパーマーケットで買い物をして、ご飯を炊いてサーモンを焼いていました」と会場を和ませ、「So Beautiful Town」と街を称賛すると、観客から大きな拍手が送られた。
本編終了後にはスタンディングオベーションが起こり、李監督は再び舞台に立ち、トロント国際映画祭のインターナショナルプログラマー、ジョバンナ・フルディ氏との質疑に応じた。ジョバンナ氏が「歌舞伎を題材とする映画は溝口健二監督の『残菊物語』(1939年)が基準となっていますが、本作に最も影響を与えた作品は何ですか」と尋ねると、李監督は「学生時代に観たチェン・カイコー監督の『さらば、わが愛/覇王別姫』から大きな影響を受けました」と答え、観客を沸かせた。
さらに「『国宝』は日本で社会現象となり、2025年8月時点で邦画実写史上2位の興行収入を記録しました。当初、成功を予想していましたか」と問われると、監督は「想像できるわけないじゃないですか」と笑いを誘い、「制作当時は日本映画にとって大きな挑戦になると考えていました。歌舞伎を題材にした映画がヒットすることは難しいと思っていましたし、関係者全員がそう感じていたと思います」と制作時の思いを振り返った。
舞台あいさつ終了後も監督は観客からの握手やサインに応じ、会場を後にした。
本作は日本特有の伝統芸能「歌舞伎」を題材とし、カンヌ国際映画祭に続き、トロントでも高い評価を受けた。第98回米アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表にも選出されており、今後の世界公開に注目が集まっている。
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