第七章・家を継ぐ者(5)

 

 利常が馬上で追憶にふけっている間にも、行列は整然と駿府に向かって進んでいく。倶利伽羅(くりから)峠を越えて越中に入り、砺(と)波(なみ)まで足を伸ばして宿場の陣屋...