3回戦の高松商戦で先制打を放つ角井翔一朗選手=兵庫県西宮市、甲子園球場
3回戦の高松商戦で先制打を放つ角井翔一朗選手=兵庫県西宮市、甲子園球場

 第103回全国高校野球選手権大会決勝で、21年ぶり3度目の優勝を果たした和歌山県代表の智弁和歌山。強打線の中軸を担った角井翔一朗選手(18)は鳥取県伯耆町出身で、地元の岸本中学校から進学した。決勝で快音は響かなかったが、中学までを知る関係者は祝福し、強豪校での頑張りと成長をたたえた。

 「(優勝は)信じられない気持ち。親元を離れてよくやったと褒めたい」。スタンドで勇姿を見届けた父の学さん(49)=鳥取県伯耆町大殿=は、長男をねぎらった。

 岸本中では野球部に入らず、鳥取市を拠点とする硬式野球クラブチームの鳥取中央リトルシニアに所属し、毎週末、鳥取市内まで練習に通った。「自分が納得いくまでバットを振る子だった」と、休みの日は一日最大500スイングし、磨いた長打力がスカウトの目に留まった。

 岸本・八郷スポーツ少年団で指導した沢田雄三さん(47)=同町坂長=はテレビで応援。「持ち味の打撃で貢献してくれた。強豪校で本当によく頑張った」と教え子の成長に目を細めた。

 岸本中時代はおとなしい性格ながら、生徒会で活動し、勉強も熱心だったという。3年間、国語を教えた永代孝夫教諭(30)=福米中=は「本当に感慨深い。高校野球に打ち込んだ経験を将来に生かしてほしい」とエールを送り、松原隆校長(57)は「卒業生の頑張りは在校生の励みになる」と喜んだ。   (柴田広大)