8月18日に発生した出雲市多伎町の地滑りで、現場付近の国道9号とJR山陰線が不通になってから2日で2週間が経過した。3日間の断水に見舞われた周辺の地域では普段の暮らしを取り戻そうと復旧に向けたさまざまな活動が続く。
現場では、土砂の撤去や地中の水抜き作業などが連日行われているが、国土交通省松江国道事務所によると、現在も斜面の変化が続いており、通行再開の時期などは未定という。
最大約900世帯が断水した小田、多岐、久村などの周辺地域は、水道こそ元に戻ったものの、往来の不便などが続き、じわじわと影響が出ている。
創業100年を迎えた旅館「はたご小田温泉」もその一つ。発生直後の週末にキャンセルが相次ぎ、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大も重なり、予約受け付けを再開した後も例年に比べ予約は大きく落ち込んでいるという。
2日は地元の小田神社で早期復旧などを祈願。道の駅など周辺施設を含めた町全体で厳しい状況となっており、交通インフラの再開が見通せない中、一体となって秋の観光シーズンを乗り切ろうと策を巡らせている。
小田神社は、旅館が取り組む「美肌観光」にゆかりが深い、美の神・豊玉姫を祭る。参拝した石飛硯一郎社長(47)、は「コロナに災害と厳しい状況が続くが、一日も早い復旧を願うとともに、地域の事業者が協力して多伎地区を盛り立てていきたい」と話した。
(三原教史)