昭和天皇の后(きさき)で、2000年に97歳で亡くなった香淳皇后の生涯を記した「香淳皇后実録」が公開されました。残念ながら、その中に、昭和史を塗り替える大発見があったわけではありません。しかし、反対に「書かれなかったこと」に目を向けると、隠されている皇室の「嫁しゅうとめの確執」と病気をめぐるプライバシーの問題が見えてきます。

 ▽人間関係の確執に「遠慮」

 そもそも「実録」とは、過去の天皇や皇族の活動を、客観的な史資料...