第八章・寛永の危機(12)

 

 利常の一行が江戸を発(た)ったのは五月五日の端午の節句の日だった。酒井和(い)泉守(ずみのかみ)忠吉(ただよし)が幕府の使者として尾張の徳川義直(よしなお)のもとに向かうので、尾張ま...