第八章・寛永の危機(35)

 

 桜田門から西の丸に入り、奥御殿の中庭で駕籠(かご)が止まった。

「肥(ひ)前守(ぜんのかみ)(利常)どの、ご足労をいただきかたじけのうござる」

 土井利勝(としか...