新型コロナウイルス感染症の治療に使われるステロイド系抗炎症薬「デキサメタゾン」の需要が急増し、不足する恐れがあることから、厚生労働省は7日までに、医療機関や薬局向けに、必要以上の入手を控えるよう求める事務連絡を出した。流行「第5波」での患者の爆発的な増加によるもので、メーカーには注文が殺到している。

 デキサメタゾンは昨年7月、抗ウイルス薬「レムデシビル」に続く国内2例目のコロナ治療薬として認定され、酸素投与が必要な「中等症2」の入院患者が対象。点滴などで医師の前での使用が原則だが、経口タイプのものを自宅療養中に飲むことも、緊急的な対応として認められている。

 8月27日付の事務連絡では「買い込みは厳に控え」、当面の必要量の購入を求めた上で、むやみに投与や処方しないなど適正利用を要請。厚労省の担当者は「買い占められると在庫の偏りが起き、本当に必要な病院や薬局が入手できなくなる」と警戒する。