7、8月の新型コロナウイルス感染者数は島根県が814人(前年同期113人=うち108人は私立学校のクラスター)、鳥取県が964人(同19人)になり、昨年と比較すると山陰両県で感染者が大きく増えていることが、あらためて分かる。感染者が出続けているため、病院の入院者が増え、医療現場の緊張は続いている。さらに軽症者は自宅待機もあり、個人や家庭の不安は広がっている。感染力の強いデルタ株が主流になり、オリンピツクという一大イベントに目を奪われている間に、様変わりした感染状況をあらためて検証し、今、必要なことや守らなくてはいけないことは何なのか、両県担当者や専門家に聞き、2回に分けて伝える。
(Sデジ編集部・吉野仁士)

 山陰両県の昨年と今年の月別の感染者数のグラフを見てほしい(グラフ1、2)。ともに昨年の7、8月はクラスター以外では多い日で10人程度の感染だったのに対し、この7、8月は両県ともに感染者が大きく増えている。8月の感染者は、島根県がこれまでの月別(5月)最多の3倍以上に当たる629人、鳥取県では同じく最多(7月)の2・3倍の671人に膨れ上がった。グラフを見ても、この7、8月の感染者の増え方は異常なほどだ。

 

 ▼マスク外す機会多い場面に注意
 昨年からの山陰両県での新型コロナウイルス感染発生の経過を振り返ってみよう。

 島根県では昨年4月、初の感染者が松江市伊勢宮町の飲食店で確認され、この店関係で計22人のクラスターが発生。8月には私立高校のサッカー部寮生を中心とするクラスターで、生徒や関係者など108人が感染した。他にも出雲市内の医療機器販売店や益田市内の自動車学校といった幅広い場所で複数の感染者が出た。いずれもニュースとして大きく取り上げられた。

立正大淞南高校のクラスター発生について説明する松浦正敬・前松江市長(左)と丸山達也知事(資料)

 今年に入り感染は拡大する。5月には当時の月別過去最多となる189人が感染。確認されたクラスター6件のうち、5件はカラオケ喫茶や飲食店だった。感染拡大が本格化した7、8月には飲食関連で5件のクラスターが起き、飲食店や個人宅での会食といった、屋内でマスクを外す機会が多い場面で感染が多発した。昨年は感染者の発生が目新しかったこともあり、印象深く思っている人も多いと思う。しかし、今年に入って、特にこの夏の感染者数の増え方は、昨年とスケールが違っていることは意外に理解されていない。

 島根県健康福祉部で新型コロナウイルス対策を担当する谷口栄作医療統括監は、大阪府や兵庫県といった、感染者数の高止まりが続く都市部の感染者との飲食が、感染増加の大きな原因になっていると分析。「マスク無しで県外者と接触するのは絶対に避けてほしい」と訴える。

 

▼患者総数は依然高水準

 島根県の月別の入院患者数のグラフを見てみよう(グラフ3)。昨年は全国で第3波があった12月でも30人程度だったのに対し、...