中国電力島根原発2号機(手前)。奥は1号機=松江市鹿島町片句
中国電力島根原発2号機(手前)。奥は1号機=松江市鹿島町片句
島根原発を巡る経過
島根原発を巡る経過
中国電力島根原発2号機(手前)。奥は1号機=松江市鹿島町片句 島根原発を巡る経過

 原子力規制委員会が15日の定例会合で、中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書」を決定した。これで県庁所在地に立地する全国唯一の原発が正式に審査合格した。10原発17基目で、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ「沸騰水型」としては4原発5基目だが再稼働した例はない。今後は地元自治体による再稼働の是非判断に焦点が移る。 (原発取材班)

 2021年度内の安全対策工事の完了を目指す中電は15日午後、立地自治体の島根県と松江市に再稼働への同意を申し入れた。しかし、事故に備えた避難計画は課題が山積みで住民の理解を得られるかどうかは不透明だ。

 定例会合では、中電が原子力規制庁から借り受けたテロ対策に関する非公開文書を誤廃棄した問題に関し、意見公募で「原発を運転する資格があるのか疑問」といった指摘が寄せられたことが報告された。規制委側は中電の改善姿勢を確認していくとした。

 規制委による審査は、これまでに合格した原発で最長の7年9カ月を要した。

 中電は敷地近くの宍道断層の長さ評価を2度にわたって見直し、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)を820ガルと設定。最大で海抜11・9メートルの津波が到達すると想定し、海抜15メートルの防波壁を建設した。火山対策では三瓶山(大田市)の噴火で最大56センチの火山灰が降り積もるとした。

 1号機(廃炉)と3号機(建設中)を含めた原発全体の安全対策費は6千億円程度となる見通し。再稼働には規制委の工事計画認可を得る必要があるが、その審査は今後、1年程度かかるとみられる。

 一方、住民の避難計画は規制委の審査項目に含まれていない。原発から30キロ圏内に暮らす約46万人が対象となるが、複合災害への備えや、広域で避難者を受け入れる山陽側の体制構築など解決すべき課題は多い。

 中電は2県6市と安全協定を結ぶ。このうち、立地自治体の島根県と松江市のみが再稼働の是非を判断できる「事前了解」の権限を持つ。周辺自治体の鳥取県と出雲、安来、雲南、米子、境港の5市は同等の権限を認めるよう求めるが、中電は応じていない。

 クリック 島根原発
 日本海に面した島根半島のほぼ中央部に位置する。廃炉作業中の1号機、2号機(82万キロワット)、建設中の3号機(137万3千キロワット)がある。構内では中国電力と協力会社の社員が約3千人(2020年12月25日現在)働く。2号機は2012年1月末に運転を停止して以降、稼働していない。原子力規制委員会の審査が中断している3号機は、完成すれば国内最大級の出力となる見通し。