「たまたま通信」を手書きする田中海太郎さん=島根県津和野町中山
「たまたま通信」を手書きする田中海太郎さん=島根県津和野町中山

 約20年前に島根県津和野町中山の奥ヶ野(おくがの)集落にIターンし、有精卵や有機栽培で育てた野菜の契約販売を手掛ける農業田中海太郎さん(46)は15年前から顧客約50人を対象に手書きの月刊紙「たまたま通信」を発行している。害獣との戦いや卵料理の紹介と多岐にわたる内容で「待っているお客さんも多く、顔の見える販売を大切にしたい」と話す。

 福岡県久留米市出身の田中さんは2000年に津和野町に移住し、集落営農組織「おくがの村」で研修生活を始めた。おくがの村の糸賀盛人代表(73)に住家や耕作地を手配してもらい、02年には亜希さん(45)と結婚し3人の子どもを授かった。

 念願の有機農法を実践するのに鶏ふんの利用を思いつき、鶏の飼育を始め、有精卵を販売したところ好評で、現在はアスパラガス、トマトなど季節の有機野菜とセット販売している。顧客は益田市や津和野町、吉賀町のほか東京にも広がる。

 手書きにこだわった記事は卵料理の献立紹介、鶏がイタチに襲われた話、イノシシの解体・加工方法などA4判の両面に盛りだくさん。挿絵は亜希さんが担当している。

 たまたま通信は22年度中に200号に到達する。田中さんは「セット販売が好評なので少しずつ販路拡大したい」と意気込む。

      (青木和憲)