家族の介護や家事に追われる18歳未満の子ども「ヤングケアラー」への理解を深める勉強会がこのほど、松江市内であった。県内の当事者支援に取り組む「ヤングケアラーサロンネットワーク」が初めて開き、オンライン参加も合わせて福祉関係者や大学生など70人が実態を学び、支援策に思いをはせた。 (森みずき)
クラスに2人はいるとされるヤングケアラーは家族のケアに時間を奪われ、日常生活や学力への影響が懸念される。ネットワークは7月に有志が設立。島根大法文学部の宮本恭子教授(福祉経済論)ら5人の共同代表が、孤立しがちな当事者の支援に取り組む。
当事者と接する機会が多い共同代表5人が、それぞれ出会ってきたケースを紹介。精神保健福祉士の貝谷昭さん(52)は「世話をしなければ自己肯定感が持てず、大人になってからも生きづらさを抱えている」と説いた。意見交換では、ヤングケアラーだったという参加者が「つらい経験が誰かのためになるならうれしい」と理解の深まりを願った。
宮本教授は「新しい視点が多くあった。山陰地域に合った支援を進めることが大切で、今後も一緒に考えていきたい」と話した。
勉強会は定期開催し、当事者同士の交流会も行う。10月6日まで、活動資金をクラウドファンディングサイト「READY FOR(レディーフォー)」で募る。