高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に中国はなぜ強く反発するのでしょうか。背景には、1972年に国交正常化するに当たって調印した日中共同声明で、「一つの中国」を玉虫色の内容でまとめた歴史的経緯があります。

 「もともと解釈が違う。それで手を握ったのです」。経緯に詳しい慶応大の井上正也教授はこう指摘します。そして、中国が答弁を巡る日本批判で新たな“歴史戦”を始めたと分析します。

 井上教授の解説を交え、中国の思惑をひもとくと、「平和国家」としての戦後日本の立ち位置を揺さぶろうとするナラティブが見えてきました。(共同通信・日中関係取材班)

 ▽中国は「認めた」主張、日本は曖昧に

 そもそも日中共同声明とは、どのような内容なのでしょうか。

 日本は1972年9月、それまで「中国」と見なしていた台湾(中華民国)と断交し、中国と国交を正常化しました。このときの日中共同声明で、日本が「一つの中国」原則を認めたと、中国は主張しています。

 しかし、日本は台...