7月7日、映画『神在月のこども』の主題歌をシンガー・ソングライターのmiwaさんが書き下ろすという情報をリリースし、たくさんの反響をいただきました。miwaさんとの「異国」でのご縁の成り立ちは、いずれお伝えしたいと思いますが、あの時の感動は今も胸に熱く残っています。
さて、「御(ご)縁」をテーマに制作を進めている本作。今回はクレジット(出演者やスタッフの表示)に込められた思いをお話しします。
映画に関わる部門は多岐にわたり、それぞれの主張や立場もあって多角的な判断が日々入り交じります。加えて、われわれのように普段は企画業に携わる者が長編アニメ制作へ挑戦すること自体も異例です。携わる一人一人が互いに敬う関係性を日常的に築けない限り、現場の士気が下がり、制作も滞ってしまいます。
時間の制約もある中、歩みを止めずここまでのリリースがかなっている背景には、素晴らしい技量と器量を持ち合わせたスタッフ、切れ者ぞろいの関係者、一流キャストの存在があり、皆がわれわれの状況を鑑みて「思いやり」の心で接してくださっているから。
映画のクレジットは「製作委員会」と記すことが一般的ですが、神在月のこどもは「(c)2021 映画『神在月のこども』製作御縁会」としました。それは「ご縁」と呼ぶにふさわしい「人を思いやれる人」とともに制作できているという確固たる信用と信頼があるからに他なりません。
今回は、そんな思いやりをほうふつとさせるポーズを取る「夜叉(やしゃ)」の原画です。僕の目には、製作御縁会の方々はこぎゃんふうに写っています。
これまでベールに包まれていた『神在月のこども』の本編の一端に触れる60秒間の特報映像が8日に公開された。今後、全国の映画館でも上映される予定。
主人公のカンナは12歳の女の子。映像ではカンナが、母親の死をきっかけにして大好きだった走ることにうまく向き合うことができなくなっている様子をはじめ、全国的に「神無月」と言われている10月を出雲部で「神在月」と呼ぶことを紹介する。
カンナは母親の形見に触れたことをきっかけに、言葉をしゃべる不思議な白ウサギや夜叉に出会い、出雲を目指し走り出すきっかけが描かれている。
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みしま・てっぺい 『神在月のこども』企画・プロデューサー。1979年、松江市出身。cretica universalでは映画、漫画、テーマパークなどさまざまなシーンで企画・プロデュースを担当。