石見地方の石州犬「石号」が柴犬のルーツであることを広めようと、石州犬研究室主宰の河部真弓さん(63)=江津市桜江町=と会社員の森岡礼さん(55)=江津市嘉久志町=が絵本を作った。石見山中の猟犬から世界に知れ渡る名犬となった実話を発信する。 (石倉俊直)
石号は昭和初期に益田市美都町の猟師が飼育し、浜田市弥栄町出身の歯科医中村鶴吉(1895~1985年)が譲り受けて血統を登録。絶滅の危機にあった純血種の保存に向けて東京に送られて、多くの子孫を残した。柴犬は現在、世界に60万匹いるとされる。
絵本「石号ものがたり」はB5変形判32ページ。歩みや、戦争と伝染病流行で血筋が何度も途切れかけたことなどをイラストを交えて紹介する。
2人は柴犬ファンや地元住民に、広く知ってもらおうと企画。石号の子と孫を飼っていた甲府市の家を訪ねて話を聞くなどして、2年がかりで完成させた。
作画担当の森岡さんは柴犬を飼っていたことから、愛着を持って取り組めたと振り返り「絵本の制作は初めてだったが、妥協することなく描けた」と満足げ。英語版にも取り掛かっており、河部さんは「柴犬のルーツが益田であることや、感動の話を世界に共有していきたい」と話した。
1320円。ネット通販のみで販売し、アマゾンで取り扱っている。
発売に合わせ、石号の生誕日の11月2日に美都温泉湯元館(益田市美都町宇津川)で、県内の柴犬が集まるイベントを予定する。
絵本やイベントの問い合わせは河部さん、電話080(5683)8692。