ばんそうこうが貼られたぬいぐるみたち
ばんそうこうが貼られたぬいぐるみたち

 子どもたちはとにかく「本物」が大好きだ。娘が乳児だった頃から感じていたが、強い関心を示すのはおもちゃではなく、大人が普段から使っている生活の道具。ティッシュペーパーやペン、新聞紙、眼鏡、リモコン、スマホ、財布、薬の瓶やチューブなど…。なぜそんな地味なものを好むのか不思議だった。

 1歳の息子も、その嗜好(しこう)は全く同じ。大人の道具を模した安全な鍵とかリモコンのおもちゃも用意したのにすぐにポイと放り投げ、向かう先は「本物」の鍵やリモコン。がじがじかんでいる時期もあったが、最近はリモコンならテレビやエアコンに向けてボタンを押してみたり、眼鏡は掛けようとしてみたり、ペットボトルのふたを飲み口に合わせて置いてみたりと、「本来の使い方」に挑戦する姿もみられて面白い。大人をよく観察して、まねているのだろう。

 成長した娘も、おもちゃより本物が好きな様子は変わらない。風呂場で最も真剣に遊ぶのはボディーソープや大人が使っている割高なシャンプーだ。ポンプ式の容器は押せば出てくると分かってからは、一体何回押すんだ、というくらい押しまくって泡を出し、それを壁や鏡や床に塗りたくって遊ぶ。浴室全体が泡だらけになる。肝心な体はまったく洗わせてくれないのに、熱心にあちこち泡を塗りまくる。詰め替える頻度が上がってしまった。

 ままごと用の食器や調理器具もあまり人気がない。娘は台所から本物の鍋やお玉、それに本物の食器類を出してきて、それらを使ってままごとを始める。だから私が本当の料理をするときに「あれ?鍋がない」「食器が足りん! どこいった?」ということがしょっちゅうあり、苦労する。料理の前には遊び場から食器などを回収してきれいにする作業が必須だ。

 娘はなぜか、ばんそうこうも大好き。ちょっとした傷でもすぐに「ばんしょーこー貼るー」と器用に開封し、貼っている。部屋にあるすべてのぬいぐるみにもばんそうこうが貼ってあった時には笑ってしまった。そのせいでばんそうこうの箱はすぐ空に…。本当に必要なときに、なくて困ったこともあった。生活の道具こそが、子らにとって何よりも魅力的らしい。

 (文化生活部・増田枝里子)

 =毎週土曜掲載=

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