先日の本紙に結果が掲載された島根県中学生人権作文コンテストの審査に携わった。最優秀賞は、足が不自由な祖父のことをつづった生徒の作品。一緒に出掛けたときに、祖父が差別的な対応を受けた経験などを振り返り、祖父は歩けないことが「あたりまえ」で、私は歩けることが「あたりまえ」と記す。「人によって『あたりまえ』は違います」「みなができないことを補い合って誰もが堂々としていられる世の中」を望む▼障害のある叔母について書いた別の生徒は「私たちの基準が『健常者』にあるから、障害者は不幸だとか何か違うというような見方をしてしまっている」と指摘する▼「『知らない』ということが、思い込みや勝手な解釈による偏見を生み、『自分との違いを認められない』ということで差別の心が生まれる」と訴える作品は、生まれつき障害のあるおじの話だった▼本質に迫る生徒の言葉に学んだ。審査員8人が最終選考対象31点から選んだ上位5点は、いずれも障害のある家族と過ごす中で生まれた体験談。身近で大切な存在の家族を通して世の中に対する疑問が芽生え、よりよい社会へ行動を呼び掛けた。実体験に基づく言葉は力がある▼ただ、全て家族関係の作品だったことは一つの現状を示した。学校や事業所、地域などに障害のある人々が当たり前にいて、日常的に触れ合う中で作文の題材になる社会が理想だ。(輔)