内閣総理大臣賞に輝いた「DANCING」
内閣総理大臣賞に輝いた「DANCING」
北本雅己さん
北本雅己さん
内閣総理大臣賞に輝いた「DANCING」
北本雅己さん

 10月下旬に東京都で開幕した国内最大規模の公募展「第8回日展」で、最高賞の内閣総理大臣賞に日展会員の北本雅己さん(65)=出雲市大津町=が輝いた。「目標にするには高すぎると考えていた賞で驚いた。賞の名に恥じない絵を描きたい」と創作活動の意欲を新たにする。 (平井優香)

 受賞作「DANCING(ダンシング)」(縦1・9メートル、横1・6メートル)は米国ニューヨークでストリートダンスを楽しむ黒人の若者を描いた。新型コロナウイルス禍で在宅時間が増え、例年より色味や構図などを何度も見直して仕上げた。この10年は海外の人物を題材に創作。頭が小さく手足が長い海外の人物は動く時に日本人とは違った躍動感や面白さがあるという。

 会員や準会員などの無鑑査作品に一般応募の入選作品を加えた計約700点から、理事や外部審査員による審査で「動きのある海外の人物をテーマに挑戦して久しい。手慣れた絵づくりには優れたものがある」と高く評された。

 北本さんは「自分一人では、ここまで来られなかった」と切磋琢磨(せっさたくま)した先輩や後輩の存在に感謝する。絵画愛好家グループ・東光会山陰支部山光会に20代で入り、創作への姿勢や技法を学んだ。現在は会長を務め、後輩が日展などで入賞すると頼もしくもあり、刺激も受けるという。

 出品は今後も続ける考え。これまでは美術教諭として高校生と接する機会が多かったことから若者が主な題材だった。退職し年齢を重ねた今、「高齢の方など動きが少ない人物を描けるようになると新しいのではないか」と新たな目標を見定める。

 第8回日展は東京都港区の国立新美術館で21日まで開催。その後、京都や名古屋など5カ所で巡回展を開く。