自分が読んだ本の面白さをどう伝えるかを競い合う全国高校ビブリオバトル島根県大会が先ごろ、松江市で開かれた。最近の高校生がどんな本を読んでいるのか。そんな興味に引かれて会場に足を運んだ。本の魅力を紹介し合う高校生らの熱弁に、読書の足場を広げる期待も膨らんできた▼県内の高校からの応募者のうち、抽選で選ばれた10人が出場。それぞれがお薦めの本の感想を述べながら、来場者との質疑応答も交え、読みたくなる本の魅力度アピール術を競い合った▼来場者たちによる投票の結果、最も多くの票を集めたのが益田高校2年、乾華さんが紹介した今邑彩著『そして誰もいなくなる』。世界的なミステリー作家、アガサ・クリスティの作品をモデルにした推理小説で、名門女子高校の演劇部員らが演劇の筋書き通りに殺されていく「見立て殺人」のストーリー▼「推理小説は誰がどう殺害したかに関心を集めようとするが、私が注目するのは動機。裁かれない犯罪をどう裁くか、という問題を考えさせられる」と乾さん▼犯罪の動機を深読みする乾さんの進路志望先は法学部。「どうすれば犯罪が減るか。自分の正義で人を殺してはいけない」と普遍的なルールに関心を寄せる。そういえば、嫌いだった数学が『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン著)を読んで好きになったという出場者もいた。読書には人生を変える力がある。(前)