インド洋に面したケニアの港町モンバサからフランスのパリまで。アフリカ大陸横断とサハラ砂漠縦断を徒歩で成し遂げた、出雲市出身の冒険家永瀬忠志さん(65)の座右の銘は「一歩ずつ、一歩ずつ」▼著書『リヤカーマン アフリカを行く』によると、高校2年の夏、同級生2人が京都と大阪まで自転車で往復したのに驚き、翌年から自身も遠乗りを始めた。大学に入ると、旅はリヤカーを引くスタイルに変わり、日本一周から豪州横断、そしてアフリカへと距離が延びていった。「小さな一歩だが、積み重ねることによって1万1100キロになっていく」▼悪路に自信を失いつつも少しずつ歩を進めて、1年と11日でアフリカの端から端までを歩ききった。永瀬さんのような大冒険を常人がなし得るのは難しい。それでも毎日、「一歩、一歩」の積み重ねを実践する人は多い▼昨年末の雪が降る夜、松江市内で反射たすきや蛍光ライトを下げてランニングに励む市民ランナーの姿を何人も見た。寒く、吹雪で視界も悪い。何より積もった雪が足にまとわり付くが、淡々と走っていった。厳しい気象条件をものともせず、日課をこなす人たちに敬服する▼新年は気持ちを新たにし、何かを始める契機になる。ランニングが無理ならば、散歩や室内運動といった習慣を付けたい。家の前を通り過ぎるランナーや通行人のために雪をかくのもいい運動になる。(釜)