デザインを担当したのは、人気アニメ「秘密結社 鷹(たか)の爪」の生みの親のFROGMAN(フロッグマン)こと小野亮さん。一時期、県に住んでいた縁で、島根出身という設定の同アニメの登場キャラ「吉田くん」や「私立大学がない」「日本政府ですら鳥取と間違える」などと書かれた自虐カレンダーの制作を通して島根のPRに貢献してきた。
県も吉田くんを「しまねsuper大使」に任命するなど、かねてから親交が深い。島根にはもったいないほどのビッグネームな上に、制作費は小野さんの厚意で無償だったというから驚きだ。
まるやまくんは、顔立ちや髪型など、一目で丸山知事とわかるほど忠実に再現されている。キャラはこのほか、さらにアニメ色の強い2種類の案があったそうだが「現物と違うと言われない基準で選んだ」(丸山知事)と即決したという。
▼「休務」の理由
そんなぜいたく過ぎる経緯で生まれたにもかかわらず、県広聴広報課によるとお披露目から現在(2021年4月)までの1年半で、出番はわずか7回。それも、お披露目から1カ月ほどの間に広報誌や新聞広告に登場した程度で、実質1年以上の「休務」が続いている。
島根県キャラの看板といえば、ゆるキャラグランプリ最高6位の絶大な人気を誇る「しまねっこ」で、毎週木曜の県政広告「島根県からのお知らせ」に登場している。ゆるキャラではないものの、まるやまくんも県政広告「考える県政」に載るなど、近い使い方がされていた。にもかかわらず、発表からの1カ月で一体何があったのか。
当時、キャラの運用を担当していた人事課の小畑芳夫管理監(前・広聴広報課長)は「政治的な売名行為では、という声が一部であった」と明かす。