6度目の感染流行の波が猛烈な勢いで日本各地を襲っている。島根県内でも、おとといの発表で新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数が過去最多の101人に達した。社会活動を止めず、感染拡大を食い止めるには、各自がこれまでの「コロナ慣れ」を顧みて予防策を再徹底するしかないだろう▼ウイルスを正しく恐れることも欠かせない。思い起こすのは、2年前の安倍晋三元首相による全国一斉の休校要請だ。専門家会議に諮らず、異論を押し切った判断は多大な犠牲を招いた。卒業間近の児童生徒は同級生と過ごす最後のかけがえのない時間を奪われ、子どもの預け先がない親は勤務時間の削減を強いられた▼にもかかわらず、全国約800自治体のデータを分析した学習院大、静岡大、米ハーバード大のチームの研究論文によると一斉休校に感染拡大を抑える効果は見られなかったという▼強い立場にある者が弱い立場の者に対して意思を聞かずに介入、干渉、支援することを「パターナリズム(父権主義)」と呼ぶ。着けている人をほとんど見なかった「アベノマスク」の配布もその一例だろう。聞く耳を持たず、効果もなければ、それは親心ではなく、ただの愚策だ▼政府に限らず、同じような事例はどこの組織でもある。その対策は必然性があるか、根拠が曖昧なまま押し付けられていないか。改めて「冷静な危機感」を持ちたい。(文)