2022年は札幌市の市制施行100年の節目に当たるそうだ。その北の都から遠く離れた島根県津和野町に昨年末、豆乳6トンの贈り物が届き、住民らに配られた。一見縁遠い二つの土地のつながりを伝える記事を本紙に見つけた▼初代札幌市長の高岡直吉(1860~1942年)は津和野出身。100年ほど前の札幌は人口12万人余りで、函館、小樽に次ぐ道内第3の都市だった。立ち遅れていた都市基盤や教育環境の整備に尽力し、市の近代化に多大な貢献を果たした。弟の熊雄は北海道帝国大(現北海道大)総長を務め、兄弟そろって札幌との縁は深い▼「寄贈を通じ、功績をもっと多くの人に知ってもらいたいと思った。周年記念は地域を盛り上げるチャンスになるはず」。企画したのは、東京在住で津和野町内の洋菓子店オーナー樋山博之さん(48)。札幌市でもビジネスを手掛ける関係で一役買って出た▼樋山さんは著名人も多く訪れる洋菓子店を東京文京区で営み、津和野町にも出店した。もしやと勘繰った方もおられよう。その通り、文豪・森鴎外ゆかりの地がつながるきっかけだったという▼直吉と同じく津和野藩校の養老館で学んだ鴎外は今年、生誕160年を迎える。かの有名な「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」と遺言を残し、文京区の地で生涯を閉じてから100年である。重なる節目が郷土の偉人たちへの興味を誘う。(史)