島根県吉賀町で、広島県出身の男性2人が森林に関する知識と技能を持つ「森師」を目指し、森師研修員として木の伐採や作業道整備に汗を流す。森師は、山林が町域のほとんどを占める町が2021年度、独自に育成を始めた森林管理の専門家。林業未経験の2人は人口減少、流出で森林荒廃が進むの防ぐのに一役買おうと研さんする。
2人は、自然に関わる仕事に興味があったという渡辺隼人さん(43)と石田達彦さん(33)。町が地域おこし協力隊事業を活用して設けた森師研修員制度の第1期生に応募し21年春、着任した。
森師研修員は3年間、山口県と接する幸地地区の町有林7ヘクタールで、木材搬出用の作業道整備や間伐作業に従事する。2人は重機免許を取得し、専門家から木の切り方や作業道の作り方を学び、着任半年後には、こなせるようになった。
渡辺さんは「山の傾斜や水の流れを見ながらどのように作業道を作るか考えるのが楽しい。やることすべてが新鮮で毎日発見がある」と笑顔を見せ、石田さんは「自然と触れ合う中で木の見方も変わり、大変さよりも面白さが多くなってきた」と振り返る。
21年度は幅2・5メートル、全長約300メートルの作業道を開設。伐採作業が困難だった傾斜地にも作り、トラックでの伐木搬出がしやすくなった。22年度はヒノキやスギの間伐・搬出を行う。
町によると、現在伐木は益田市内の市場に出荷しているが、今後は町内で活用する方法を考えるという。担当する町産業課の斎藤慎吾主幹は「豊富な森林資源の活用が町の一番の課題。自伐型林業を広め、町内産業を活性化させたい」と話した。
町では毎年度、森師研修員を募集する。問い合わせは産業課、電話0856(79)2213。
(石倉俊直)