北京冬季五輪は今週「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングで準決勝進出を懸けたヤマ場を迎える。注目は女子日本代表のロコ・ソラーレ。北海道常呂町(現北見市)に拠点を置き地元選手で組織する▼「カーリングの聖地」の異名がある常呂町は合併前、人口5千人足らずの漁業と農業が中心の町だった。町民の男性が1980年に道内の講習会で競技の面白さにのめり込み、手作業で氷を張り仲間を募ったのが始まりだ。厳しい風雪で閉ざされる冬でも楽しめるスポーツは町民に広がった。専用リンクの完成で子どもたちが競技に親しみ、全国で通用する選手が育った。今大会、ロコ・ソラーレには一地方から世界の頂点に立つという夢が懸かる▼前回平昌(ピョンチャン)大会でも注目が集まり、「そだねー」「もぐもぐタイム」といった流行語が生まれた。競技に興味を持つ若い世代に、島根県内でも県カーリング協会が体験会を開いたが、4年後の今は競技環境の維持が困難になりつつある▼県内で唯一競技のできるサン・ビレッジ浜田が存廃で揺れているためだ。設備更新にコストがかかることから、リンク存続に浜田市教育委員会は今冬と来冬の利用者急増を求める▼新型コロナウイルスの影響で施設は20日まで休業中。練習は今年に入って一度もできていないという。施設はスケートの利用者も多い。銀盤に触れる機会が失われるのを静観していいのか。(釜)