支持を求め、選挙カーから手を振る立候補者=松江市内
支持を求め、選挙カーから手を振る立候補者=松江市内
中国電力島根原発2号機(左)=松江市鹿島町片句
中国電力島根原発2号機(左)=松江市鹿島町片句
支持を求め、選挙カーから手を振る立候補者=松江市内 中国電力島根原発2号機(左)=松江市鹿島町片句

 18日投開票の松江市長選で最大の争点が中国電力が目指す島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働への対応だ。全国で唯一、原発が立地する県庁所在地の市長候補の訴えに有権者の注目が集まる。 (片山大輔、佐々木一全、中村成美)

 「2号機の再稼働は前向きに進めていく必要がある」。松江市母衣町の中電島根支社前で12日夕、無所属新人の上定昭仁候補(48)が声を響かせた。

 上定候補は将来的には原発に頼らない社会を望むものの、現状は再生可能エネルギーだけで電力は賄えないと指摘。市民の安心安全の確保を最優先に、当面の原発活用に理解を示す。13日は鹿島町でも原発の必要性に言及し、再稼働の是非は「市民や関係者の声をしっかり聞いて慎重に判断する」と訴えた。

 これに対し、再稼働反対を旗印に名乗りを上げた共産党新人の吉儀敬子候補(70)は「原発は事故を起こす。再稼働は許さない」と力説。全ての街頭演説で主張の中心に据える。

 吉儀候補は2011年の東京電力福島第1原発事故で原発の「安全神話」が崩壊し、島根原発の30キロ圏内に暮らす市内外の約46万人の避難計画も実効性が担保されていないと批判。2号機の停止後、既に9年が過ぎたことに触れながら「エネルギーは足り、生活もできている」と呼び掛ける。

 一方、無所属新人の出川桃子候補(43)は演説で市役所本庁舎の建て替え事業や市政運営の在り方を見直すことを前面に打ち出し、街頭で原発に言及する場面は少ない。ただ、告示前の政策発表会では原発再稼働に関して「重大な判断が迫られる重要な課題だ」と強調。庁舎問題と同様に、多様な市民の意見を丁寧に聞き、再稼働の是非判断に反映させる考えで、避難計画に関しても「実効性を市民、専門家としっかり検証する」と意欲を示す。

 原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が終盤に差し掛かった島根2号機は、年内に合格する可能性が取り沙汰される。市民の安全安心の確保は市政の根幹に関わる問題であり、任期中に再稼働の是非判断を迫られることになる新市長を選ぶ上で、説得力のある論戦が求められる。