小さな子でも届く位置に置かれたアルコール消毒液
小さな子でも届く位置に置かれたアルコール消毒液

 手指消毒のためのアルコール消毒液をなめた子どもが、急性アルコール中毒となり、搬送された例が島根県内で発生した。新型コロナウイルス対策で、子どもの手が届く位置にもある消毒液は、誤飲や興味本位でなめてしまう可能性がある。取り扱いにあらためて注意が必要だ。 (増田枝里子)

 今年3月、県東部の保育園に通う女児(5)が突然意識不明となり救急搬送された。園での午睡前は変わりなかったが、午睡後に保育士が気付いたときにはうずくまり「目がぐるぐる回る、気持ち悪い」と訴えた。

 連絡を受けた母親(43)と近くの小児科を受診し、点滴を受けたが、呼びかけに反応しないため搬送された。血液検査やCT、MRI検査では異常は見つからず、原因が分からないままだった。

 午後9時半ごろに意識が戻り、30分後には会話ができるようになった。女児は午睡時、室内にあったスプレータイプのアルコール消毒液をこっそり手につけ、なめる行為を繰り返したことを打ち明けた。以前にも数回なめたという。

 本人の話を受け、同11時に血液検査をすると、血中アルコール濃度が120ミリグラム/デシリットルあり、「急性アルコール中毒」と診断された。女児は回復し後遺症もなく退院したが、まれに低血糖で死に至ることもある。目撃情報や物的な証拠がなければ診断が難しく、治療が遅れる危険性がある。

 母親は「消毒液が原因と誰も疑わなかったことが怖かった。アルコールが身近になっているからこそ、危険だと知ってほしい」と訴える。

 公共施設や店舗、学校など、子どもが手の届く高さに消毒スプレーやジェルが設置されている例は多い。子どもも自分で消毒できるようにとの狙いがあるが、簡単に手にできる危険性と隣り合わせだ。

 島根、鳥取両県の消費者センターに同様の相談はないが、消費者庁と国民生活センターには、外出先の除菌剤や、携帯用アルコールジェルを誤飲した例が寄せられ、同庁は今年2月、注意喚起した。

 島根県立中央病院小児科の平出智裕医師(42)は「誤飲ではなく意図的に口にする場合がある。子どもの手の届かないところに置き、大人の監視下で使うことが大切だ」と呼びかける。