乳児が異物を詰まらせた場合の対応を指導する岩谷ゆかりさん=松江市法吉町
乳児が異物を詰まらせた場合の対応を指導する岩谷ゆかりさん=松江市法吉町

          
乳児が異物を詰まらせた場合の対応を指導する岩谷ゆかりさん=松江市法吉町

 0~5歳児の窒息・誤飲の救急搬送が2020年からの5年間で228件に上ることが、山陰両県12消防への取材で分かった。20年2月に松江市内の認可保育施設で節分行事中、男児(4)が気道に豆を詰まらせ、窒息死した事故から間もなく5年。事故の発生を防ぐために周囲の大人による見守りや緊急時の対応への知識が欠かせない。

 12消防によると、0~5歳児の窒息や誤飲による搬送件数(疑い含む)は、2020年から5年間で228件。このうち食べ物(疑い含む)は82件だった。

 通報内容を明らかにした9消防によると、詰まった食べ物で多かったのはあめ玉(10件)、魚の骨(8件)、ミカンやリンゴ、バナナ、イチゴといった果物(6件)、グミ、乳児用せんべい(各2件)などだった。

 窒息や誤飲は、死亡事故につながる恐れがある。24年2月には、福岡県内の小学1年生が給食で出されたウズラの卵を、同年8月には1歳児が球体チーズを、ともに喉に詰まらせて亡くなった。

 日本赤十字社島根県支部の看護師、岩谷ゆかりさん(49)は子どもは大人に比べて、かむ力、のみ込む力が弱いため注意が必要という。

 詰まった場合、幼児は、声をかけてせきをさせる▽せきが出ない場合は、頭を低くして背中を強くたたく-などの対応が必要となる。乳児は、横向きにして口から物が出やすいようにする▽頭を低くして、背中を強くたたく▽あおむけにして胸の中心部からやや下を指2本で圧迫する-などの方法で異物を取り除く。

 早急に119番通報し、反応や呼吸がなくなった場合は人工呼吸や自動体外式除細動器(AED)の使用も必要だと訴える。

 島根県内では、節分の事故をきっかけに講習を増やした施設もある。松江市法吉町の社会福祉法人みずうみは30日、保育士や事務、給食担当の職員9人が人形を使って異物除去や心肺蘇生の訓練を行った。

 0~5歳児約140人が通う同法人運営の2保育園は、市内で事故があった20年以降、講習をプールの授業がある夏と節分前の年2回、全職員が受ける。みずうみ保育園の杉村由紀子園長(57)は「いつ起こっても、職員誰もが対応できることが大切だ」と話した。(森みずき、林李奈)