松江市の認定こども園で節分の行事中、男児=当時(4)=が気道に豆を詰まらせて窒息死した事故で、検証部会が7日、報告書を公表した。3歳以上でも誤嚥(ごえん)の危険性があるとの基本的な認識が園に欠けていたと指摘。食を伴う保育活動をする場合は、子どもの安全に意識を集中する職員を配置することなど、再発防止策を盛り込んだ。
報告書によると、園は3歳未満の幼児に豆は危険との認識があり、丸めた新聞紙で代用していたが、3歳以上は食べたり、まいたりしたりしていた。
6歳以下の子どもは気道が狭い上、全国的に食品による窒息死事故が相次いでいることなどを踏まえ、3歳以上も同様の危険があることへの「基本的な認識が欠けていた」と指摘した。
気道に詰まらせ、意識を失って倒れた後の救急対応については、常駐する看護師が自動体外式除細動器(AED)を使うなどして心肺蘇生をしており、問題はなかったと結論付けた。
再発防止策は13項目を提言。お月見やハロウィーンといった食を伴う保育活動をする場合、職員配置に加え、誤嚥のリスクが高い食材は変更を含めて安全性の検討を重ね、全職員で認識を共有することを求めた。
報告書は77ページで7日、市ホームページで公開。球状や粘着性の高い食材を提供する際にリスクを事前に評価したかどうかなど13項目のチェックシートを添えており、市は保育施設に周知するほか、説明会を通じて再発防止に生かす。
市役所で肥後功一部会長(島根大副学長)から報告書を受け取った上定昭仁市長は「一過性ではなく、いろいろな機会で周知を徹底する」と述べた。
事故は2020年2月に発生。検証部会は市が設置し、学識経験者や医師ら5人が、園や保護者への聞き取りなどを踏まえて報告書をまとめた。
(中村成美)