屋外でマスクを着用する人たち=松江市朝日町、JR松江駅
屋外でマスクを着用する人たち=松江市朝日町、JR松江駅

 外していいのか、着けるべきか-。新型コロナウイルスの感染対策に関し、日本医師会関係者や政権幹部が言及し始めた、屋外での「脱マスク論」に市民が困惑している。感染の心配が拭えないことや心理的な抵抗などがあるため。医療関係者は臨機応変な対応をすべきだとして脱マスクに理解を示すが、政権のマスク脱着を巡る方針は不透明なままだ。不安を拭うため、より強いメッセージが求められそうだ。 (取材班)

 東京都医師会の尾崎治夫会長は10日の記者会見で、コロナ対策のマスク着用について、屋外は感染リスクが低いと考えられるとして「着用を見直してもいいのでは」と提案。翌11日の会見で松野博一官房長官が、屋外で人との十分な距離が取れる場合は不要との認識を示した。

 国外に目を転じても、5月から韓国で屋外でのマスク着用義務が緩和され、フランスでは公共交通機関での着用義務が解除されるなど脱マスクの流れが進む。

 松江市の市街地では、13日もマスクを着ける人が大半を占めた。JR松江駅で路線バスを待っていた同市奥谷町の主婦内田弥生さん(75)は「感染を防ぐため外でもマスクを着けるのは当然だ」と話す。東京都在住で松江を訪れた会社員秋山雅敏さん(53)も「屋外なら外して大丈夫と思っても、周りの目が気になり外せずにいる」と心理的な抵抗感を打ち明ける。

 浜山保育園(出雲市浜町)では、2歳以下とマスクをすぐに外してしまう園児以外はマスク着用を原則としている。古川泰道園長はコロナの感染者数が下げ止まらず、周辺の保育施設も臨時休園が多いことに触れ「屋外で日常的にマスクを外すという判断は難しい」と困惑する。

 全国の薬局でつくる全日本医薬品登録販売者協会の大房勝三専務理事(米子市在住)は「屋外でマスクは必要ない」と脱マスクの流れを歓迎する。飛沫(ひまつ)を防止するのがマスクの役割で、屋外ではその機能が発揮されないと強調。むしろ幼い子どもや高齢者の場合、酸素の供給不足で脳や心臓に負担がかかることがあり、身体へのリスクに目を向けるべきだとする。

 ただ、松野官房長官の発言の後に岸田文雄首相が「マスク緩和は考えていない」と述べるなど方針はあいまいで、困惑が広がりかねない状況が続く。

 大房専務理事は「市民が安心して屋外でマスクを外せるよう、リーダーシップをもって呼びかけてほしい」と周知の徹底を求めた。