簸上清酒(島根県奥出雲町横田)の銘酒「七冠馬」と人気ゲームでのコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」(Cygames)がコラボした日本酒が7、777本、購入予約の受付開始当日に完売し話題になった。若者の日本酒離れが叫ばれる今、即日完売は関係者を驚かせた。蔵元に発売の経緯や反響への思いを聞いた。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 

▼発表から3時間半で完売

 「ウマ娘 プリティーダービー」は競走馬をモチーフにしたキャラクターの女の子が競馬のようにレースをするゲーム。若者を中心にヒットしている。

競走馬がモチーフのキャラが競う「ウマ娘 プリティーダービー」(Cygames提供 © Cygames, Inc.)

 蔵元がコラボしたのは競馬レースの最高峰GⅠで当時史上最多の7勝を果たし、20世紀最強の競走馬と称された「シンボリルドルフ」(1981~2011年)モチーフにしたキャラクター。キャラクターの描き下ろし絵が印刷された限定ラベル付きの七冠馬(720ミリットル、5500円)を、シンボリルドルフの誕生日の3月13日に合わせて販売した。

 簸上清酒によると限定の七冠馬は山田錦100%の純米大吟醸。日本酒になじみが薄い人でも飲みやすい、後味のよい飲み口を目指した。かぐわしい吟醸の香と山田錦のコメの旨味、すっきりとした後味が調和し、料理と一緒においしく飲める日本酒だという。酒の配達予定日は「7勝」にかけた7月7日に設定した。この日に向けて酒を仕上げようと1年前から仕込みのスケジュールを調整し、準備してきた。

シンボリルドルフの描き下ろしイラストが描かれた、限定版の「七冠馬」。キャラのりりしさを感じさせる魅力的なデザインになっている

 用意した数は「7冠」にかけて7、777本。日本酒の限定販売の本数としては飛び抜けて多い。自身もウマ娘のファンだという田村浩一郎専務(35)は「ウマ娘の人気を考えると777本では少ない。もし売れなかったら、という不安はあったが、ここは腹をくくってやろうと決断した」と振り返った。

 ツイッターで発表すると同時に注文が殺到した。午後4時の発表から2時間で5千本が売れ、同7時半ごろには完売したという。田村専務の心配は杞憂(きゆう)に終わり「予想を上回る反響に驚いた。ウマ娘恐るべし、といったところ」と実感を話した。田村明男社長(65)も「知人ですら買えないほどの早さだった。まさかここまでの人気とは」と驚きを隠さない。

 

 ▼銘酒の由来は牧場オーナーとの縁

 簸上清酒と名馬シンボリルドルフには縁がある。シンボリルドルフを育成したシンボリ牧場のオーナーが大田市出身で、簸上清酒の社長とは親戚関係。七冠馬を発売したのもこの縁による。

 1986年2月、田村社長の妹が牧場の3代目オーナーに嫁いだ。シンボリルドルフはその2カ月前に7勝を達成したばかり。簸上清酒は1996年、7勝にあやかり七冠馬と銘打った日本酒を発売した。ほどよい香りとコメのうま味のバランスが特徴で、現在の七冠馬には純米大吟醸や特別純米など複数種類がある。

田村社長(右)は七冠馬の発売以降、シンボリ牧場を毎年訪れ、ルドルフと仲良く触れ合っていたという(簸上清酒提供)

 七冠馬は簸上清酒の銘酒の柱に据えられている。ウマ娘を以前から知る田村専務は、七冠馬とウマ娘を絡めて発信できないかと考えていたが、当時は勝手が分からなかった。

 

 ▼ウマ娘のキャラ 関係者としては

 そんな時、日本酒の広報イベントを数多く開催する名酒センター(東京都文京区)から「ウマ娘とコラボしてみてはどうか」と打診があった。...