屋根のほとんどがブルーシートに覆われている、お寺カフェ田舎家=鳥取県大山町大山
屋根のほとんどがブルーシートに覆われている、お寺カフェ田舎家=鳥取県大山町大山

 夏山開きが近づき、観光の繁忙期を迎える鳥取県大山町の大山寺エリアで、観光施設の関係者が3月に見舞われた強風被害に頭を抱えている。最大瞬間風速30メートルを超える風で約10軒の旅館やカフェなどで屋根が吹き飛んだほか、窓ガラスが割れる被害に見舞われ、多額の修繕費が必要で修理が進まない施設が多い。関係者は「声を大にして観光客を呼べない」と肩を落とす。
      (坂本彩子)

 5月中旬、新緑を楽しもうと県内外から多くの観光客が訪れる大山寺参道。一方で、参道沿いの旅館や飲食店などには割れた窓やブルーシートに覆われた屋根が目立った。

 とやま旅館(鳥取県大山町大山、26室)は3月末の強風で200平方メートルの屋根が吹き飛ばされた。修理に着手したが費用は1500万円程度を見込む。2カ月が経過した今も修理は終わらず、大山が望める人気の3室は使えないままだ。

 今月から鳥取県民を対象に、町独自の宿泊割引事業が始まったものの、兜(と)山真宏社長(41)は「ブルーシートがかかった旅館に泊まりたい方はいないだろう」と話す。

 参道界わいは古くからの個人経営の施設が多く、修繕費が重くのしかかる。現場からは、大山と一体となった景観を維持するためにも行政に一部補助を求める声が上がるが、大山町観光課の西尾秀道課長は「被害は全戸ではない。個人の保険で対応してもらうしかない」と述べるにとどめる。

 行政の支援を諦め、個人で奮闘する姿もある。大山寺の支院・寿福院で自家焙煎コーヒーを提供する「お寺カフェ田舎家」(同)は、江戸時代に建てられたという建物の屋根が吹き飛んだ。応急処置でブルーシートを被せているが、雨天時は雨漏りするため臨時休業にせざるを得ないという。

 修理費は最低600万円かかると分かり、店主の中村光雄さん(59)は「閉店を考えた」という。それでも「建物に恩返しがしたい」と、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを活用し、500万円を目標に資金を集める。中村さんは「建物は雨風でダメになる。一刻も早くなんとかするしかない」と危機感を口にした。