通常国会が15日、閉幕し、与野党が「22日公示、7月10日投開票」の参院選に向け、事実上の選挙戦をスタートさせた。2016年以降、3度目の合区選挙となる鳥取・島根合区選挙区(改選数1)には、5人が立候補を予定。自民党現職の青木一彦氏(61)=2期、公明党推薦=に、立憲民主党新人の村上泰二朗氏(33)、共産党新人の福住英行氏(46)が挑む実質的な三つどもえの構図となりそうだ。 (取材班)
青木氏は3月に自民が公認決定して以降、隠岐を含む山陰両県を一巡。業界団体など両県で約210団体の推薦を得た。国土交通副大臣などを務め、山陰道をはじめとするインフラ整備の実績を強調。「地方力」をキャッチフレーズに掲げて、中山間地域・離島振興にかかる法整備に尽力した点もアピールする。16日に島根県議や推薦団体の会合に出席し、組織固めに追い込みをかける。
元鳥取県職員の村上氏は4月に立民が公認。19年の前回選は候補者調整で共産に枠を譲った立民にとって、合区で初の候補擁立となる。推薦する連合の両県組織、支援を決めた国民民主党島根県連などが支える。立候補予定者の中で最年少。若さを前面に出し、子育てや雇用環境の充実を主張する。知名度不足の解消に向け、幹線道路沿いの街頭演説で顔を売るほか小規模集会で浸透を図る。
共産鳥取県委員会常任委員の福住氏は公認決定を受け2月末に立候補表明した。全国で唯一、県庁所在地に立地する中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働反対を訴えの柱に据え、憲法9条の改正反対、消費税減税を主張。岸田政権への批判を展開する。街頭での活動に力を入れる一方で、両県内の党支部を回り、個別の演説会、ミニ集会で政策を訴える。
このほか、NHK党職員で新人の黒瀬信明氏(37)が立候補を予定。公示日以外は選挙区に入らず、NHKのスクランブル放送化の実現などをユーチューブで発信する。
政治団体「参政党」の新人で元琴浦町議の前田敬孝氏(60)も立候補を予定し、公示後はJRなどで移動しながら地方の再生を訴える。
また、自民党は鳥取側で実質的な「県代表」を確保するため、比例代表の特定枠に元鳥取県議の藤井一博氏(44)を擁立する。名簿上位で処遇するため当選確実となっている。