スマートフォンの相談を受ける湯本拡さん(左)=島根県海士町、町役場
スマートフォンの相談を受ける湯本拡さん(左)=島根県海士町、町役場

 島根県海士町の短期就業体験「大人の島体験」に参加する大学生が期間限定で開いたスマートフォンお悩み相談会が町民に大好評で16日、最終日を迎えた。要望は根強く、同日開会した6月定例町議会の一般質問で恒久化を求める声が上がり、町も検討を始めた。

 スマホの相談を受けたのは東京都多摩市の大学4年、湯本拡(ひろ)さん(21)。新型コロナウイルスの影響で人と接する体験ができなかったことから1年間休学し、島体験に応募した。家電量販店でスマホ販売のアルバイト経験があり「人に役立つ活動をして喜ばれたい」と役場会議室で5月9日から週4日、相談を受け付けた。

 ポスターやケーブルテレビで告知すると、スマホを手に「ウイルスに感染したかもしれない」「写真を送りたい」といった主に高齢の住民が続々とやって来た。町内にはスマホ専門店がなく、相談したくてもできない人が数多くいた。

 最終日までに延べ44人から計79件の相談を受けた。リピーターも複数いて、中には7回も来た人や話し好きの湯本さんと雑談を楽しむために来る人もいたという。湯本さんが島体験を終えて25日に東京へ帰るため、相談会は16日午前で終了した。

 町議会一般質問で、前田昇議員が「町の現状ではとても的を射た取り組みで継続を強く求める」と訴えた。大江和彦町長は「湯本さんにまた帰ってきてほしいと願っている」とした上で「2回目の開催を検討したい」と答弁した。

 湯本さんは「9割以上の質問は専門的な知識を必要としなかった」とし、知識よりは話を聴く力が大切だったと振り返る。公務員志望で「海士町での就職も考えたい」と話した。
      (鎌田剛)