22日に公示される参院選に向けて主要各党の公約が出そろった。共通するのは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた安全保障政策と、さまざまなモノが値上がりする物価高騰対策の二つを柱に据えていることだ。

 さらに財政健全化や少子高齢化、社会保障、地方再生、原発・エネルギーなど内外に難しい課題が山積する。日本の安全を守り、持続可能な社会を築けるのか。そのために主張する政策が本当に有効なのか。各党は丁寧に説明し、活発な論戦を展開するよう求めたい。

 争点の一つは安全保障政策だ。外交や安保は選挙では票にならないとされてきたが、ウクライナ情勢で国民の間に不安が広がっているため一変した。

 自民党は「日本を守る」として防衛費の大幅増額を打ち出した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防予算が対国内総生産(GDP)比2%以上を目標としていることを指摘し、2023年度から「5年以内に必要な予算水準の達成を目指す」と明記。抑止力強化策として、相手国の領域内の基地や指揮統制機能を攻撃できる「反撃能力」の保有も盛り込んだ。

 日本維新の会も防衛費を「GDP2%を目安に増額」するとし、米国の核兵器を日米で共同運用する「核共有」の議論も主張。NHK党も防衛費倍増を訴える。

 これに対して立憲民主党は防衛力強化の必要性は認めながらも「総額ありきではなく、めりはりのある防衛力の質的向上」を主張。与党の公明党も「予算額ありきではなく真に必要な予算の確保を図る」とした。国民民主党は「専守防衛に徹しつつ必要な防衛費を増額」と主張。共産、社民両党は増額に反対する。

 論点は多い。防衛費の財源のために社会保障や教育費を削るのか。そもそも日米安保体制の下、日本の防衛力はどうあるべきなのか。国民の不安に便乗するのではなく、冷静な議論を行うべきだ。

 物価高騰や新型コロナウイルス感染症で影響を受けた生活支援策で、自民党は人への投資促進による賃金増などを打ち出した。ただ、岸田文雄首相が掲げていた「所得倍増」は貯蓄を投資に回す「資産所得倍増」に変質した。公明党も賃上げした企業への税制支援を掲げるが、問われるのは政権与党としての実績だ。

 一方、立民は「生活安全保障」を掲げ、国民、共産両党とともに消費税率の5%への引き下げを、維新は軽減税率の8%からの段階的引き下げを主張する。れいわ新選組は消費税廃止を訴える。

 各党が競うのが教育や子育て支援策だ。公明党は高校生までの医療費無償化、立民は国公立大学の授業料無償化、維新は出産費用の実質無償化などを打ち出している。財源論が焦点となろう。

 憲法改正も重要な争点になる。自民党は改憲を「早期に実現する」として9条への自衛隊明記など4項目を明記。維新も9条改正と緊急事態条項創設を公約に盛り込んだ。公明党は9条明記案の「検討を進める」と前向きな姿勢を示し、国民も自衛権行使の範囲を規定する改正を主張する。

 一方、立民は「国家権力を制約する方向」での論憲を訴える。参院選の結果次第では改憲論議が大きく進む可能性もある。しっかりと吟味したい。