衆院選挙区画定審議会の川人貞史会長(右)から勧告を受け取る岸田文雄首相=16日、首相官邸
衆院選挙区画定審議会の川人貞史会長(右)から勧告を受け取る岸田文雄首相=16日、首相官邸

 国会最終盤の今月9日に否決された細田博之衆院議長(島根1区)への議長不信任決議案。討論は週刊誌報道を巡るセクハラ疑惑などに大半の時間が割かれた。批判を浴びる発端となった衆院小選挙区定数の「10増10減」問題に対する言及はほとんどなかった▼1週間後の16日。衆院選挙区画定審議会が、「1票の格差」を是正する10増10減の区割り改定案を岸田文雄首相に勧告した。10増10減案につながる法改正を主導した細田議長が「地方いじめ」などと否定的な発言を繰り返して与野党の不評を買い、まるで腫れ物に触るかのように議論はストップした▼一方で、地方の議席を減らし、都市部に集中させる10増10減案に山陰両県選出の国会議員も多くが違和感を抱く。「細田議長の考えに賛同する」との声も目立った▼不満を感じるのは都市部の有権者も同じではないか。定数が5増えた東京都。港区は1区と2区から7区となり、選ぶ候補がころころ変わりかねない事態に。複数の選挙区にまたがる区は減ったものの、区議会議員選挙より狭い範囲の選挙区が世田谷など七つもある▼人口減の中、議席減で地方の声が届きにくくなる懸念と、「法の下の平等」のバランスをいかに図るか。難解な方程式を解くのは容易ではないが、細田議長が閉口するのであれば、他の議員が問題提起し、有権者目線で次期選挙後も見据えた不断の議論が必要だ。(吏)