全ての小中学生に1人1台のタブレット端末やパソコンを配備し利活用を推し進める「GIGAスクール構想」が本格始動して2年目を迎え、ソフト対策の不備が顕在化している。端末を扱い指導する教員の学ぶ時間や、現場をサポートする各自治体の支援員が十分確保できない現状にあるためで、整備したハードを生かすための継続的な下支えが求められる。
      (佐貫公哉)

 「なかなかたどり着けませんね」ー。松江市岡本町の秋鹿小学校の長谷川杏美教諭(36)はタブレット端末を前にこうつぶやいた。平日は児童が登校する前に出勤。夕方近くまで授業をした後も、会議や宿題のチェック、翌日の授業の準備など仕事は山積み。勤務時間内で帰宅することはまれで、情報通信技術(ICT)教育の研究にまで手が回らない。

 同僚と端末の実践例やアプリの活用、意見交換に努めてはいるが、捻出できる時間は限られる。

 文部科学省のGIGAスクール構想は、日本の学校でデジタル教材を扱う時間が、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の中で最下位となった危機感の下、2019年12月に打ち出された。

 子どもの個性に応じた教育や学習状況のこまやかな把握、...