選択的夫婦別姓は、夫婦が望む場合、結婚後もそれぞれ結婚前の姓を使うことを認める制度で、日本では導入されていない。民法では婚姻時に夫または妻の姓を称すると定めている。

 2020年に婚姻届を提出した夫婦のうち、9割以上が夫の姓を選択している。女性の社会進出に伴い、仕事や生活に支障が出ているとして導入を求める声が高まっている。

 法制審議会(法相の諮問機関)は1996年、導入を認める民法改正を答申。法務省は96年と2010年に改正案を準備したが、当時の与党内で足並みがそろわず国会提出に至らなかった。国連女性差別撤廃委員会は03年から日本政府に是正を繰り返し勧告。一方、最高裁大法廷は21年、現行の民法規定を合憲と判断した。

 今回の参院選公約で、立民、共産、国民、れいわ、社民は「実現」や「導入」を掲げる。公明も「導入を推進」と明記。日本維新の会は「同じ戸籍は同じ姓」という原則を維持しつつ「旧姓使用にも一般的な法的効力を与える制度の創設」を主張。NHK党は導入の前段階として、結婚後、例外的にそれぞれの旧姓を名乗ることを認める制度の検討を提案した。

 一方、自民は参院選の政策集に「氏を改めることによる不利益に関する国民の声や時代の変化を受け止め、その不利益をさらに解消する」としたが、具体策には踏み込まなかった。